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手を繋ごう~愛憎Ⅱ~(復旧版)
第33章 オーボエが鳴り響く放課後
暖房が通っていない中で、二人体温を感じながら、プシュッと買っておいたホットココアの封を開け、

「はい」

と、萌に手渡した後、誠もココアの封を開け、ゴク…と飲む。

甘いものが苦手な誠だが、こう言う時に飲むココアは格別に美味い…と思う。

「唯ちゃん…来てたな…」

呟く様に誠が言うのに

「うん…」

と、萌が返す。

廊下で担任と窓を眺めているのは見ていたが、丁度反対側に進んだ為、鉢合わせる事は無かった。

「萌は、どうしたい?」

誠は新学期が始まる前、唯が萌に謝りたいとゆうから聞いていたのを思い出しながら言う。萌には言っていない。第三者が入る事ではない…そう思ったから。

「どうしたいって?」

胸元でぎゅっと抱き締められている誠の腕を下から掴みながら、萌は誠に聞く。

「唯ちゃんが、萌に謝りたいって言ったらさ?」

そう聞くと

「謝る事なんてなんもないよ。あの時は傷付いたし、唯ちゃんがあんな子だとは思わなかった…そう思ったけど。謝る事なんて、ない。オーボエをまた二人で楽しく吹きたいだけ…」

呟く様に萌は言った。

「そっかぁ〜」

と、ぎゅーっと萌を抱き締める。

唯のあの言い様は聞く人によっては許せないと捉えるだろうし、萌がその事にこだわりない事にホッとした。

「私は、榎本くんが許せない。それだけ…」

誠の腕をぎゅっと握りしめながら、萌は言う。

大切な友人、恋人や仲間を利用したり、一歩間違えれば死に繋がる事件を起こした榎本。

最初は萌が好きだった…それだけの話だったのに、被害が拡大してるのに気付く事もなく、今どこにいるかも分からない。

けど萌には怒りだけでいっぱいになって欲しくない…と、誠は思った。

余裕が、その分無くなってしまうから。

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