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手を繋ごう~愛憎Ⅱ~(復旧版)
第33章 オーボエが鳴り響く放課後
「こじらせてるし、相手はどう思ってるか分かんない。けど、佐藤は謝りたいって思ってる。したら、素直に謝れば良いだけ。状況は良く知らないけどな?」

康之はブルル…と、丁度その時振動した、マナーモードのスマホをいじりながら言う。

「くそぉー波留のやつぅぅー」

と、呟く康之に

「高辻くんがどうしたの?」

と、確か誠の友人である波留を思い浮かべながら言うと、

「なんでもね。それよりケー番とLINEID教えて?」

と、康之が何気ない表情で聞いて来るのに、

「へ?」

と言いながら、唯はスマホを取り出す。

「はい」

と、LINEのQRコードを出した唯。

「ありがと。」

と言いながら、康之はQRコードを読み込み、スマホを制服の中にしまう。

「明日から、佐藤学校来ないだろ?LINE友達になろうや」

と言う康之に

「え、良いけど、良いの?」

と聞く唯に

「俺から聞いといてその質問は野暮だろ?ってことでLINE友達って事でよろしくー」

と、ひらひらしながら、康之は仲間の中に入って行く。

こんな事件が起きて、男性に対して恐怖心や不信感を持っていて、学校に行く時一番不安だった事なのに、康之には自然に話せてしまう。

康之を追いながら

(…なんか不思議…)

と思いながらいると、昼休みが終わるチャイムが鳴った。


唯は昼間の出来事を思い出しつつ、音楽準備室の鍵を開ける。

萌のオーボエケースの隣にある、唯のケースを取り出す傍ら、唯は萌のケースをなぞる。

確かに、萌ばかりがソロを弾いていたから、嫉妬心はあった。

あと、豊を見ていたら、萌の方を見ているのにも、嫉妬をしていた。

けど、萌には誠がいて、二人は付き合ってる。

二週間位、全く話さなかった二人だったが、そのあとは手を繋いで二人で歩いてる姿を真近で見ていたし、どんどん綺麗になって行く萌はきっと誠のお陰なんだろう…そう思っていた。

(萌とオーボエを弾く…凄く楽しかったのに…なんで私…)

でも、そんな風に思っても遅い。

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