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手を繋ごう~愛憎Ⅱ~(復旧版)
第33章 オーボエが鳴り響く放課後
ケースから取り出し、ポー…と、音合わせをする時の基本音を鳴らし、オーボエに空気が漏れていないか確認し、唯は快活なマーチを演奏し始める。

中学一年生の時、初めて弾いた課題曲。

タンキングが難しかったなぁ…と思いながら、今では楽々弾けれるこの曲を抑揚つけながら演奏して行く。

この曲を弾いていると気分が明るくなるし、また、萌と、

「バスクラのパートやるから、主音弾いてー」

と、冗談でオーボエなのに、バスクラリネットのパートを弾くものだから、萌と一緒に美咲に怒られたっけ…とその時の事を思い出していた時に

ガラリ

音楽準備室の扉が開いた。

ゆうに断りを入れてるから、唯が慌てる必要はないのだが、一瞬慌てて後ろを振り返ると、


萌がいた。


唯はそわそわと落ち着かないままに、しどろもどろしていると、

「唯ちゃん良いなぁ〜私もやろ。」

と、唯が先ほどなぞっていた、萌のオーボエケースからオーボエを出し、

「私、バスクラパートやるから、唯ちゃん主音弾いて?」

と、萌が言う。

最初のイントロから始めた唯に、バスクラリネットのパートの譜面を見ながら、萌は演奏する。

同じ音同士で奏でられるため、ガチャガチャはするが、萌の目を見ながら、吹いて行く内に、

(気持ち良い…)

と、感じた唯は、今の曲を弾き終えた後

「ね、あの映画の二重奏なんてどう?」

と、萌には言う。

魔法使い見習いの女の子が、猫と共に知らない街にやって来て、仕事をしたりする事で一人前な魔女になって行く…と言う世界的に有名な監督が作った映画の、知らない街に入る主人公の心境を曲にしたもの。

「んじゃBパートやる!」

と言う萌に、

「え〜私もBパートが良い…」

と言う事でじゃんけんで決め、萌がBパートになり、その刹那、ハッとした気分になる。

(謝ってないじゃない…私…)

そう思った唯は

「…ごめんね、萌…」

と、昼康之に言われた通り謝るのに、

「謝んなくて良いよ?私だってあの時感情的になり過ぎちゃったし」

と、ニコッと笑う萌に、じわり…と涙腺が緩む。

「もー、済んだ話は良いのー!じゃあ吹こうか!」

萌は涙目になりながら良い、萌と唯は二重奏を弾き始めた。
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