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手を繋ごう~愛憎Ⅱ~(復旧版)
第33章 オーボエが鳴り響く放課後
ゆうから聞いた内容では、退院をして、家に戻った榎本の母親は、学校にはそんなの息子が本当にやったのか、とか、家庭の事など、あんたらには関係ない…の一点張りらしい。
警察の家宅捜索が入り、部屋から押収された薬物についても、知らなかったの一点張りで、捜査の協力でさえ、拒否反応を起こした。
監督不行き届きで児童相談所から注意勧告を受けても、児童相談所には丸め込む様な態度しか取らず、警察と児童相談所に対する態度は正反対。
ちぐはぐな母親の対応に、恐らく最初にゆうが憶測をした事は事実だろう…学校・警察、児童相談所の意見は一致した。
誠が行く事により、逆ギレを起こす可能性もあるし、ゆうは誠に行かせたくない…と、誠には言ったのだが、もし仮にこのまま豊が見つかり、逮捕…と言う形になった場合、刑事事件として家庭裁判所送致になり、不処分、保護観察処分、児童自立支援施設、少年院、少年刑務所という五通りの選択がされる。
唯を強姦した上で、脱法ドラッグ漬けにし、誠を集団リンチに追い込み、最終的に刺したり、薬物にも手を染めてる状態では、重罪もあり得るかもしれない…と言うのが、ゆう達の先を見越した予想だった。
その中で、親として、責任を持ってもらいたい…豊を見てもらいたい…と言うのがゆう達の本音であり、ゆう自身、足繁く通っていたが、知らぬ存ざぬで、諦めようか…と肩を落としていたのを誠が聞き、行く様な立場じゃないが、行きたい…と、言ったのだ。
それが叶わない願いであったとしても、子どもは親の愛情を欲するものだから、きっと豊自身が知らない内に求めてる…と思ったから。
「私、邪魔?」
萌は悲しそうな表情で言う。
誠は
「違う。そう言ったら俺も邪魔なんだ。大人同士の話し合いに首を突っ込むほど生意気なガキなんていねぇよ。」
と、誠は言う。
「じゃあ、私も連れてってよ!」
食い下がる萌に、
「ダメだ!お前が行くところじゃねぇ!」
と、強い口調で誠は言う。