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手を繋ごう~愛憎Ⅱ~(復旧版)
第34章 誠の涙
「ここが…榎本の家…なのか?」
誠は呟くように言う目の前の建物は、築30年は経っていそうな二階建て木造のアパート。
都心から車で30分ほどかかる為、豊は電車を何時間乗って学校に来ていたのだろう…と誠は思う。
「…榎本くんの家は階段を昇ってすぐの部屋。他の部屋は空き部屋で、下に唯一暮らしてるおばあちゃんがいるんだけど、耳が遠かったり、入院したりしていた時期もあったみたいで、二階の榎本くん親子の状況を察知出来なかったみたい…」
ゆうは呟くように言う。アパートの周囲はチラホラ住宅もあるが、機械を扱う工場もあったりと、中々、周りの住民も榎本親子の「異常」に気が付けずにいたと言う。
「…榎本くんのご両親は離婚した後、お母さんが元々あった家からこちらに移ったみたいね。駅前にあるスナックで働きながら生活していたみたい」
「慰謝料…とかは貰わなかったのか?」
今まである程度豊の生い立ちを聞いていた誠は聞く。
「…学費とかはお父さんが払ってるみたいね。養育費については…詳しくは聞いていない…けど、何回か行った時のお母さんの様子から考えると…」
「…使い込んでんのか?」
誠は聞くと
「…ん…お仕事柄か…とは思ったんだけど…ブランドものの服着ていて、部屋の一室がそれで埋まってた…。」
そう言うゆうに
「…なんでお父さんのトコ…まぁ…行けないよな…」
幸せだった家庭を壊した女性と生まれて来た豊の腹違いの弟…そして父親と言う構図…自分のその立場になって考えて見たら一目瞭然。
父親の元になんか行きたくない。
「…多分…お母さんは重度のストレス状態に陥って…榎本くんに危害を加えていたんだと思う。…その立場になって考えてみたらなんて言えば良いか分かんないけど…でも…」
「父親も母親も身勝手なら、子どもだって…身勝手になるだろうな…」
誠は呟くように言う。
「…」
ゆうは俯いた。
誠は呟くように言う目の前の建物は、築30年は経っていそうな二階建て木造のアパート。
都心から車で30分ほどかかる為、豊は電車を何時間乗って学校に来ていたのだろう…と誠は思う。
「…榎本くんの家は階段を昇ってすぐの部屋。他の部屋は空き部屋で、下に唯一暮らしてるおばあちゃんがいるんだけど、耳が遠かったり、入院したりしていた時期もあったみたいで、二階の榎本くん親子の状況を察知出来なかったみたい…」
ゆうは呟くように言う。アパートの周囲はチラホラ住宅もあるが、機械を扱う工場もあったりと、中々、周りの住民も榎本親子の「異常」に気が付けずにいたと言う。
「…榎本くんのご両親は離婚した後、お母さんが元々あった家からこちらに移ったみたいね。駅前にあるスナックで働きながら生活していたみたい」
「慰謝料…とかは貰わなかったのか?」
今まである程度豊の生い立ちを聞いていた誠は聞く。
「…学費とかはお父さんが払ってるみたいね。養育費については…詳しくは聞いていない…けど、何回か行った時のお母さんの様子から考えると…」
「…使い込んでんのか?」
誠は聞くと
「…ん…お仕事柄か…とは思ったんだけど…ブランドものの服着ていて、部屋の一室がそれで埋まってた…。」
そう言うゆうに
「…なんでお父さんのトコ…まぁ…行けないよな…」
幸せだった家庭を壊した女性と生まれて来た豊の腹違いの弟…そして父親と言う構図…自分のその立場になって考えて見たら一目瞭然。
父親の元になんか行きたくない。
「…多分…お母さんは重度のストレス状態に陥って…榎本くんに危害を加えていたんだと思う。…その立場になって考えてみたらなんて言えば良いか分かんないけど…でも…」
「父親も母親も身勝手なら、子どもだって…身勝手になるだろうな…」
誠は呟くように言う。
「…」
ゆうは俯いた。