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手を繋ごう~愛憎Ⅱ~(復旧版)
第34章 誠の涙
「はっ!クラスメイトを強姦してヤク漬けにした挙句、クサやって、集団リンチして、人刺して…親に迷惑かかるって理解してんのかしら。だから、あんな子産みたくなかったのよ」
吐き捨てるように言う千佳の言葉にカッとした誠は
「子どもは親を選ぶ事は出来ないって言うけど、そんな風に切り捨てられたら、悪くもなるよな」
と、吐き捨てるように言う。
ゆうが
「…ちょ!まこちゃん!」
止めるゆうに構わず
「わりぃけどあんたのせいで榎本があんなに悪くなっちまったんだよ!生まれて来なければ良かったのにって言われて喜ぶ子どもなんていねぇ!そこまでなんで榎本を苦しめる必要があったんだよ!」
そう言う誠に
「人の気持ちも知らない、ただのガキにそんな事言われたくないわ!帰って頂戴!」
と、千佳はドアをまた閉めようとする。
ガシッと誠はドアを掴みながら
「…俺は実の母さん亡くしてる。赤ん坊の時だったから顔すら覚えてねぇ。けど、難産だった俺を精一杯産み落としてくれて、今がある。その事にすごく感謝してる。
会えねぇけど、会いたいけど、俺は会えねぇ。
けど榎本はあんたに会えるんだよ!俺はそれが羨ましくて仕方がないんだ!
それがどんな親だったとしても、大好きなのに変わりはねぇ!…あんたが何で苦しんでんのかわかんねぇ!
けど、子どもに八つ当たりすんのは間違ってるよ!
なぁ!そう言う子どもの気持ちも考えてくれよ!…なぁ!」
誠は泣きたい気持ちになるのを必死に抑えて言う。
表情を硬くして誠の話を聞いている千佳にゆうが
「お母さん。…私も一人の娘がいますが、産まれて来てくれてよかった。私の元に来てくれて良かった…そう思いながら、毎日娘と顔を合わせてます。…おそらく、夫が何かしたって、娘への気持ちは変わらないと思います」
そう言うゆうに千佳は
「…あんたと私は違う…」
呟くように言う。
「いいえ!私はそうは思いません!…どうか…何かあった時に…豊くんにとっての帰ってくる場所でいて欲しい…私はそう思ってます。
…きっと、あなたに見てもらいたくて、こんな事件を起こしていた…私はそう思いますから…」
千佳の目を見つめながら言うゆうに、千佳は
「説教のためにここに来たんですか!?悪いけど、これから仕事がありますので!」