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手を繋ごう~愛憎Ⅱ~(復旧版)
第34章 誠の涙
千佳は、両手でゆうと誠の肩を押しながら、パタン…と、部屋のドアを閉める。

「…行きましょう…」

そうゆうは言い、誠は俯きながら

「…ん…」

と、呟くように言い、アパートの下に止めておいた車に二人は乗り込んだ。

車の中から、広い大地に覆われる雪を誠は眺める。

夕方になり、雪の結晶に反射して地平線を沈む夕日は、幻想的に見え、きっと、この風景も、この出来事も忘れる事は出来ないのだろうな…と誠は思った。

車を運転しながら、ゆうが

「…まこちゃん、ありがとう…」

と、誠に礼を言う。

誠は込み上げてくる感情を抑えながら

「なんも…してねぇよ…」

と、呟くように言うのに、

「私だったら言えなかった事をまこちゃんが代弁してくれたのよ?…なんもしてないわけないじゃない…」

ゆうは呟くように言う。

「なぁ?俺の言いたい事、あいつの母親に伝えられたかな?」

誠の問いに

「…何年もそんな気持ちのまま、榎本くんに接していたからと思うから…正直言って分かんない。…けど…確かに伝わった事はあると思う…」

そう言うゆうに、込み上げてくる感情を抑えながら

「…伝わらなかったら…ホント俺キツイわ…」

誠は呟くように言った後、終始無言のまま、萌のアパートに着く。

「…やっと、萌に会える…」

呟く様に言う誠に

「萌ちゃんと付き合い始めてから…ホント貴方変わったわ…。こんなに素直に人に色々と話す…萌ちゃんの存在はホント強いのね…」

優しい表情で言うゆうに

「…ん…」

と、呟きながら、

「また、明日、学校で…」

と言う誠に、

「今日は疲れただろうから…ゆっくり休むのよ?」

と、ゆうは言う。

「ありがとう。それじゃあ」

バタンッと車のドアを閉めるとゆうの車が動き出す。

プッと言う車のクラクションに、誠はふぅー…と息を吐きながら、萌のアパートへ入って言った。
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