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手を繋ごう~愛憎Ⅱ~(復旧版)
第34章 誠の涙
リビングのソファに誠が座り、その上に萌が座る…と言った、いつものスタイルで、泣き続ける誠をいつものように胸を揉まれながら

(…だから言ったのに…)

と、一人思う。

状況も知らないままに泣いてる誠を見ても、具体的に何があったか…聞き出す事も出来ない。

多分、傷付いたんだ…そう思いながら、聞き出すのが良いのか、このまま待機していた方が良いのか、考える。

(私も言えないかもしれない…)

誠の立場に立ち、思った萌は、誠に身を預け、何も聞かないまま、泣き続ける誠が何を言い出すか…待つ事にした。



(あーもう…何やってんだろ…俺…)

いつもの如く、萌の柔らかい萌の胸を揉みながら、誠は思う。

平常心でいるつもりだった。

けど、萌の顔を見た途端、何かの均衡が崩れた。

それでもなんとか我慢していたけれど、着替えをしていると、途方もない悲しさに襲われ、静かに涙を流してた。

覚悟をしていた筈だった。

なのに、伝えた言葉が伝わらなかったのでは…と、分かり合えないのを感じると涙が溢れていた。

ゆう達が望むようには行かないかもしれない。

けど、誰かが、榎本が逮捕される前に、言わなきゃならなかった。

必ずしも、榎本ばかりが悪い…どうしてもそうは思えなかったから。

何も動かないままに、榎本が逮捕されるような事になったら…。

恐らく榎本は母親と一生会わない選択をするだろう…そう思っていた。

だから、母親の元へ赴き、言った筈なのに、悔しさや悲しみばかりが襲う。

ゆうが何かしら伝わる何かがあったと思う…そう言われたとしても納得が出来ない感情が誠には襲った。

(ごめん、榎本…)

誠は心の中で呟いた。

萌が榎本で身を危険に晒される時、きっと、自分の中で榎本は完全な敵になる。

その前に、行動したかった…それだけだけど…。

(…言いたい事は言ったし…定期的に頭を下げても、逆効果…だから…)

何も出来ない自分がもどかしくて仕方がなくて、萌の背中に額を埋めた。

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