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手を繋ごう~愛憎Ⅱ~(復旧版)
第34章 誠の涙
涙が自然に止まる。

静けさだけ、萌と誠を包み込んだ。

ぎゅっと、誠は萌を抱き締める。

萌は振り向き

「…辛かったね…」

と、言って、軽く誠にキスをした。

柔らかい萌の唇に、何も聞かないまま誠に胸を揉まれてる萌に、いつもの習慣ながら、こんな風に萌の胸を揉んでいる自分に驚き、こんな情けない姿を見せてしまった自分がカッコ悪い…と思いつつ

(くそ…涙がまた出そうだ…)

と、思う。

萌は

「…良く…分かんないけれど、人って多分、一言二言何か言ったって、急激に変わるものではない…。どっかの本に、どうにもならない状況は今は分かんなくても、その内わかる日が来る…そう書いてあった。…だからまこちゃん、自分を責めないで?」

そう言う萌に

誠は額を埋めながら、

「…ん…」

呟くように言う。

理屈では分かっていても、どうにもならない感情…こればっかりは取り払う事は出来ない。

けど仕方がない。

誠は榎本の母親になる事は出来ないし、そこの部分を頑張る必要が誠にはないのだから。

「それにしても、こんな良い友達がいるのに、榎本くんはバカだよねって、笑っちゃお?泣き笑いでも良いし。ね?」

萌が言うのに

「…俺が…余計なお節介…焼いただけだ…」

と、誠は言う。

「…私はそう思わないな。他人の親に対峙するなんて、私には出来ない。他の子でも出来ない。…逆に、榎本くんが、少し救われた…と思う」

そう言う萌の意見に誠自身も救われた気分になる。

「…ご褒美…欲しいな…」

呟く様に言う誠。

なんだか、そんな状況じゃないのに、萌が欲しい…そう思った。

「ご飯のあと?今?」

クスクス笑いながら言う萌に

「今…」

と、誠の上にいる萌を、お姫様抱っこして、萌の部屋に行く。





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