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手を繋ごう~愛憎Ⅱ~(復旧版)
第34章 誠の涙
「そっか…あいつらすげぇ親身になってくれてるもんな…」

そう誠は言うと

「ん。」

そう言う萌のお腹がぐりゅりゅ…と鳴る。

「あ…」

顔を真っ赤にさせる萌にクスクス誠は笑いながら

「よし、飯にすっかぁ」

と、チュッと萌の唇にキスをした。


いつからだろう。

萌にこんな母性を感じる時が来るとは思わなかった。

今日、誠は萌に対しての認識を新たにしたのだ。

萌の顔を見て泣く…なんて、今まで全然ありえなかった。

付き合う前は自分の恋心だけで精一杯だったし、付き合ってからは、萌は自分が守るんだ…その一心で動いていたけれど、最近萌を見てホッとすることや安らぐ時の方が増えて、むしろ萌に守られているような気がする。

着替え終わった萌とリビングに行こうと、萌の部屋を出ようとする時、


「…ありがと…萌」

ぎゅ…と、萌を抱きしめた。

え〜どうしたの〜と、クスクス笑いながら、台所へ向かう萌を追いカセットコンロを出すのを誠が手伝う。

萌が背伸びをしていて、誠はわざと萌の体にすり寄せながら、上の棚にあるカセットコンロが入っている買い物袋を取り出す。

萌の顔が赤くなってるのを見て、耳元で

「ガスは…?」

と、誠は囁いた。

「ん…ここ…」

カセットコンロの隣にあったガスを取り出し、そのまま、萌をふりむかせて、誠は軽いキスを何度かしつつ、半開きになった萌の口に舌を這わせる。

コトン…

誠は台所のシンク台にガスを置き、深いキスを何度もして行く内に、

「はぁ…」

萌は甘い吐息を漏らしシンクに寄りかかり、顔を赤くしている。

それを見ていると食欲より、性欲の方が優ってしまうけれど、

(萌ちゃん、お腹減ってるもんね…)

と、思い直し

萌の耳元で

「メシ食い終わったら…また萌の事、抱きたい…」

と囁いた。



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