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第3章 新人モデル沢木馨

塩澤家に嫁いだ京子は表向きはドール専門店の店員だった。しかし、裏稼業として依頼主の要望に応える一種の何でも屋をやっていた。依頼によってはドールを使って人間すらも殺める。それが塩澤家の家業だった。
そして、葛城家の分家でもある。葛城家は一族の本家筋に当たり、姉の都は婿養子を取り、葛城家の当主の父に次期当主となる夫は付きっきりで仕事を覚えている。
この世界で葛城家に逆らうモノあらば、世間から消えるとさえ言われるほど、葛城家の権力は大きく政治にも影響していた。その為、ドールの女王を代々引き継ぎ持っていたのも不思議では無いのだ。
そのドールの女王は現在薫と名付けられ、都と京子姉妹を主に持ちそれぞれの仕事を支えている。
そして今、京子の元に来た依頼の為に男装し、有名モデル彩奈さやかに近づいているのだった。
沢木馨は彩奈さやかとの共演をキッカケに一気に人気者になった。その眉目秀麗な顔、ハスキーな声、モデルらしい高身長。全てが女性の憧れの的となる。テレビ出演のオファーもあり、女性ファンからのファンレターも所属事務所へ山の様に来る。
女性を魅了し離さない人気モデル沢木馨。様々な雑誌でも彼の特集を始める。そう、全て京子の計画通りに……。