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連攣鎖(つれづれぐさ)*
第44章 つれづれなるままに
会話にすれば長くなりますが、要約すると、
彼はあまり老けてはおらず、昔を知る人からも『変わってないね。』と言われるということ。
奥さんは10年前に病気で亡くなったということ。
何回か出張で東京にきたことがあり、そのたびに私のことを思いだし、連絡しようか迷ったということ。
そして、1人息子は自立して東京に就職し、1人暮らしをしていたということ。
過去形なのは、その息子が今年の夏、自宅で突然死してしまい、警察に呼ばれ遺品の整理の為に東京に2週間ほど来ていたこと。
でした。
彼自身が1人っ子で両親は、早くに亡くなっています。
奥さんも息子にまで先立たれ、彼は天涯孤独になってしまっているということです。
そして、今いる土地は奥さんの実家の近くで、そちらのご両親が健在かどうかはわかりませんが、
故郷でもない縁もゆかりもない土地で退職の時を迎えるのです。
私は、気軽に連絡してしまいましたが、彼に何と声をかけたらよいのかわからず、黙り込んでしまいました。