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連攣鎖(つれづれぐさ)*
第44章 つれづれなるままに
『でもね、俺…』
彼の声は柔らかく、あんな別れかたをしたのに…
それから色んなことがあったのに…
昨日会ったかのように優しいものでした。
『今、お付き合いしている人がいるんだ。
その人には、中学生の娘がいて、一緒に暮らしてるんだ。』
「そうなんですか、いい人がいて良かった。」
私は、月並みな返事をしました。
『それでね、今、ちょうど娘が部活から帰ってきて、お母さんはまだなんだけど、俺が誰と話してるか、興味津々で見てるの。
だからね、そろそろ切るね。』
「うん、お元気で…」
プツン…
携帯の終話音は非情で切ない感じがしました。
『さよなら』でも、『また』でもなく、『お元気で』とも返されず終わりました。
頭の中がぐちゃぐちゃになり、ふぅっ…と大きく息を吐き、自席に戻り帰り支度をしました。