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オレンジ色のまま脳みそに焼きつけて、焦がして
第1章 無邪気なオレンジ
『紗世さんって俺のこと好きじゃないでしょ?』
キラキラ光るオレンジ色の髪を風になびかせながらユリがそんな事を聞いてくる。
私は煙草を吸いながらユリの髪を乱暴に撫でた。
ユリは嬉しそうに目を細めながら首を竦めて、私にされるがままだった。
可愛い可愛いユリ。
絶対的な愛を私に示す純粋過ぎる馬鹿な男。
私に想われてないと分かっているのに、平気な顔で『愛してる』と言う変わり者。
『俺分かってるよ?けど紗世さんが側にいてくれるなら俺はそれでいーの』
ほら、またそんな馬鹿なことを言う。
『私が結婚しちゃったら?』
ふぅー、と白い煙をユリ目掛けて吐き出すとユリは煙たそうな顔をしながら答えた。
『紗世さんの愛人になる』
ユリは多分人よりも一、二本頭のネジが足りないんだと思う。
だからこんなことを言えるんだ。
『俺ねー、紗世さんに愛されなくてもいーの。俺の一方通行でいーの。けどね、決めてる事があるの』
『決めてる事?』
オレンジ色の髪が眩しい。
綺麗なオレンジ色。
ユリはやんわりと口角を上げながら言った。
『あなたに必要とされなくなった時は、あなたの前から消えるね』
オレンジ色の髪。
ブリーチで傷んだ髪の毛。
だけど太陽の光を浴びると宝石みたいにキラキラ光る。
真っ直ぐに私を見る瞳。
私が踏み躙り傷つけたオレンジ色。