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オレンジ色のまま脳みそに焼きつけて、焦がして
第1章 無邪気なオレンジ

瞼を開けると、視界がボヤケていた。
寝起きで乾燥した目を擦りながら欠伸をする。
頭がボンヤリして痛い。
胸の辺りが鉛みたいに重くて胸糞が悪い。
何年ぶりに彼の夢を見ただろう。
何年ぶりに彼の顔を見ただろう。
いつの間にか私は寝てしまっていたらしく、観ていたはずの番組は違う番組に変わっていた。
テレビ画面右端に小さく表示されている時間は14時4分だった。
「夕飯の買い物行かなきゃ‥‥」
よいしょと重い腰を持ち上げ、伸びをしている時だった。
プルルルと家の電話が鳴った。
私はどうせ義理母だろうと思い、溜息をついた。
またつまらない世間話がしたくて電話してきているんだろうと思っていた。
昼寝していた私が言うのもどうかと思うが、こっちも暇じゃないんだ。
気乗りしないが仕方なく電話を取り通話ボタンを押した。
子機を耳に当てた瞬間、私は声をワントーン上げて『もしもし?』と言葉を出した。
すると、電話越しから私の耳に届いた声は義理母の声ではなかった。
『紗世さんですか?』
掠れた女の声。
私は不信感から声を低くした。
「どちら様?」
私の問い掛けに相手は名前を名乗らなかった。
名前を名乗る代わりに、私に報告した。
『ユリが死にました』
キュッと、器官が狭まり息が吸いづらくなった。
 

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