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オレンジ色のまま脳みそに焼きつけて、焦がして
第1章 無邪気なオレンジ
このルックスならヒモになる事など容易いだろう。
上目遣いでおねだりなんかされたら、母性が擽られて何でも買い与えたくなるに違いない。
「ん?紗世さん黙ってどうした?」
「え?いや、お姉さん達ってどんな人達なのかなぁって思って‥‥」
「紗世さんが想像してる通りの人達だよ。俺ヒモだったから」
こうもあっさりヒモだったと言う彼は、男としてのプライドは無いのだろうか?
今時の子は女に養われる事に抵抗がないのかな?
それともユリが他の人よりぶっ飛び気味だからこうもオープンに言えるのだろうか?
「引いた?」
フフっと可愛らしく笑い、タバコを吸うユリ。
何を考えているのか分からない男だ。
ユリはオレンジ色の髪を掻き上げ、灰皿に灰を落としながらふわふわした話し方で話し始めた。
会話のネタもなかったので、私はユリの話に耳を傾け黙って聞いた。
「俺ね母親の顔知らないんだ。生まれてすぐに里子に出されたからね、子供がいない夫婦に。義理の両親はめちゃくちゃ優しかったんだ。俺を本当の子供みたいに可愛がってくれた。けど結局は養子な訳よ俺は。二人の間に本当の子供が出来たら俺は用済みになった。露骨に邪魔者扱いされて、挙句お前は私達の子供じゃないってカミングアウトされてさ。なーんかもうどうでも良くなっちゃってさ、手当り次第優しくしてくれる人に懐いて可愛がって貰うことにした」
「‥‥‥それが売春してた理由?」
あまりにも気の毒すぎる彼の生い立ちに同情した。
すごく重くて胃もたれしそうな内容に顔が引き攣る。
けど当の本人はあっけらかんとしていて、まるで思い出話でもしてるような感じだった。
やっぱり、掴めないなこの子。