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あんなこんなエロ短編集
第16章 飛んでく心
「お前は阿呆か」



「………一応国立出てるし、公務員だし阿呆ではないかと………」



「ど阿呆っ!


あ、おじさんつくね追加ね」


ケンちゃんは怒っていた。


ケンちゃんとは中学から同級生で、


同じ大学に進み同じ街で就職した友達・高倉健(タカクラケン)だ。


昔同姓同名の有名人がいたらしいけど、



平成生まれの僕にはよくわからない。


「お前なー。


馬鹿にされてんじゃん!


『寂しかったから浮気したの~。


でもあなたのこと好きなのぉ~。別れたくないのぉ~。』


……怒れよちっとは!」


酔いも手伝い、


ケンちゃんの声は大きい。


「だってさー。


僕だって嫌になった訳じゃないし、


浮気の原因が僕にあるなら直したいし……」


「っかーーー!


お前お人好しにも限度があるぞ。


原因あろうが無かろうが、


彼女は隠れて違う男とヤッてんだよ?最低の裏切


り行為。しかもそれを申告って…完全自己満足


じゃん?


アレだよ、お前の肩書き(国家公務員)をキープ


したいんだよそれは」


「う~~~~~ん。


まぁ彼女がその人のが好きとかじゃないから」


「…………もういいわ…………


圭太(けいた)よ、お前はそのまま行け…………」


やや芝居がかった仕草で僕の肩を叩くと、


ケンちゃんはつくねを僕にくれた。


ーーーーーだって本当なのだから。


腹も立たないし、情けなくもならない。


百歩譲って国家公務員が目当てだとしても、


『不況だしなぁ』と理解できる。


「だからってあさみを嫌いにはなれないよ……」


1人暮らしのアパートに帰宅し、


服を脱ぎながら僕は独りごちた。














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