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第17章 よごと

ぱちん




ぱちん



三日月型のかけらが散る。




私は切り揃えた爪を見つめた。




爪切りを仕舞う。




カチッ




煙草を咥える。




今日はこれで最後にしておこう。





本数はかなり減らせるようになった。





吸いながらアパートの窓を開く。





「はー………」





もう、吐き出した息が白く染まる季節だ。





スウェットだけでは直ぐ冷えるが、





私は寒さが好きだ。





頭の中がしんと冷えて、





落ち着くから。







ブルルル






スマホの受信バイブが響き、





窓を閉めてベッドに戻る。






小さなタンス、木のベッド。






脇にある格子柄のチェストは、奮発して買った





外国の家具メーカーのものだ。






部屋は静か。






この部屋に居るのもあと3週間だ。





「………ふふっ」





携帯メールは祐希【ﾕｳｷ】からのもので、





彼らしく『おやすみー。





スマホから顔出してチューしたい』とあり、






キャラクターが口を突き出しているスタンプが





添付されていた。





口元が綻ぶ。






煙草をくしゃりと揉み消す。






火が消えても、私はしつこくくしゃくしゃと灰皿に






押しつけた。