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あんなこんなエロ短編集
第20章 分からない
意外にも近くに住んでいることが分かった。




tは20代の会社員で、彼女がいないという。




話も合う訳もなくからかわれているのだろうと




思っていた。






がーーーーー……





ーーーー「何度言ったら分かるんだっ!」




バンと机を叩く音。




また課長のお怒りだ。




わたしが勤める繊維会社は大手で、



ゆえに人間関係は厳しく居心地が悪い。




わたしは事務をして18年になった。



…………リストラ名簿に自分の名前が上がっていると




うすうす気づいている。



派遣社員を大量に導入し、




昔から居たリーダー格の社員を次々に退職へと追い込む。



会社としての機能が崩れていく。




なのに誰も止められない…………




大人しい男性社員が課長から怒鳴られている。




わたしはそちらを見ずに淡々とパソコンに打ち込む。





『しねしねしねしねしねしねしねしねしねしね』




ハッと気づくと、画面には〈しね〉という文字が




埋め尽くされていた。





「ですからあれは…」




「うるさい、黙れ!現場の士気が下がるだろう!



お前のミスだっ!始末書を書け」





課長が地響きのような怒鳴り声をあげると、




コツ………………ン




床にわたしの印鑑が落ちた。

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