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あんなこんなエロ短編集
第21章 裏のかお
キーンコ~ンカーンコ~ン




「はい、今日はここまで。」




冴子が言うと、「きりーつ」




学級委員が怠そうに合図をする。




小学生はコドモの割に鋭く、




人間関係のヒエラルキーも厳しい。





ガタガタと椅子を鳴らし立ち上がり、





「礼」のかけ声で各自頭を下げる。





「よっしー、今日の授業良かったよ!」




派手な女子グループのトップがからかうように叫ぶと、



ドッと笑いが起きた。





「はいはーい、ありがとね!毎日精進致します~」





まともに相手をしていたら病んでしまう。






適度にあしらうのが1番だ。





「吉木先生!」




廊下に出た所で声を掛けられた。




振り返ると、このクラスの男子・伊東雪途(いとうゆきと)がテキストを持って掛けよってきた。




素直で純朴といったイメージの男子だ。




肌の色が白くやせ型で、




よく派手なグループに弄られている。




髪が肩まであり一見すると女の子のよう。





「なぁに?」





「あの……、さっきの割合の問題がイマイチ分からなくて」




算数のテキストを捲り問題を指さす。





「ああ………、これはね」




疑問点に答えてやる。




雪途は熱心に聞いていた。




テキストを見詰める瞳は大きく、睫毛が長い。




「あ!分かった!」




真剣な表情と一転しニコッと笑う。




切れ長の目が見開き、




優しい花がふわっと咲いたような笑顔になる。






「良かった!伊東くんは努力家ね」





ーーーーーこうやって分からない点を聞きにくる生徒は、



私立中学の受験を控えている者に多い。




秋が過ぎ、本腰を入れて受験勉強に取り組まなけれ





ばならない時期。






(そうだわ、確か…………)




伊東雪途の母親はPTA役員をしている。




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