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あんなこんなエロ短編集
第24章 幸せな時間
ホテルから1人で出るのも寂しいけれど、



彼は仕事中時間を作って来ているから仕方ない。




私はカーディガンを着て髪を直し、




口紅を引いて部屋を後にした。




この間までの酷暑が嘘のようにもう肌寒い9月。




夕方、もの悲しさとかしましさが混在した通りを




ヒール音を響かせ歩く。





ええと…………冷蔵庫にあれとあれがあったから、




今夜は煮物にでもするか。




快感の名残が脚の付け根を迸り、



お腹の奥で燃えているみたいに気持ちいい。




「ただいま………あれっ」アパートに着きドアを開ける




と、中から湯気が伝わってきた。





「おー、おかえり。何早かったじゃん」




彼は鍋を掴み、エプロンをしてどうやら夕飯を




作っているらしい。




「え、どうしたのー?」




「久しぶりに残業無くてさ。



いつも家事も真美に任せっきりじゃん?仕事もハード




なのに全部やってくれてるし。



たまには俺がしなきゃな」




「そうなの?え、やだ気恥ずかしいよ~」




「一応まだ新婚だしな(笑)」




仁志(ひとし)は優しい。




こうして労いの言葉をくれるし上から叱ったりも




しない。



堅実で誠実だ。




だから………………




だから願う。





仁志の瞳に、私は普通に映りますように。




幸せで、おっちょこちょいで毎日楽しい女性。





他の男に脚を絡ませるなんて想像もできない。




そんなことがあるはずがない。





ーーーそう、映りますように。




私の頭にあるのは彼との次のセックスのこと。




だから仁志に向けた笑顔をぐっと深くした。




























〈終わり〉
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