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第26章 夢の穴

「暇だな………ふぁ～あ」



欠伸が出た。




少し眠るか、夕飯は終わったし………




そう思ったのと落ちるのとほぼ同時だった。






「あなたー！！起きて、7時よもう！！」




体を揺すられ目を覚ますと、




黒髪を１つに結んだ優しげな女のアップがある。




「ぎゃあっ、だだだ誰だよ？！」




俺は飛び起きた。




女は小首を傾げ、




「何言ってるのぉ？



勇気（ゆうき）と勇太（ゆうた）もう出ちゃったの



よ？」




と不思議そうに言ってくる。





「あ………あれ？俺ん家…………だ……………」





両親が遺した家で独り暮らしをしている。




入院前の見慣れた天井だ。




「あはは、寝ぼけてるの？早く、起きて遅刻しちゃ




うっ」




女が俺の背中を叩く。




なんだ…………？何なんだ？ユウキとユウタだと………？




夢か？夢だな。




思いっ切り頬をつねると、激痛がした。




「痛い痛い！！……………………あ、会社行かないと」




現実だ。





夢のような浮遊感が一切無い。





俺は……………、どうしちまったんだ？？