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あんなこんなエロ短編集
第30章 シラナイカオ

ーーーー「こんにちは。
アユナと申します」
ホテルのロビー。
ハット帽子が目印だと言っていた紳士は直ぐに見つかった。
未奈を見、目を見開く。
想像以上に美しいからだろう。
「ああ、貴女がアユナさん……………。
袴田(はかまだ)です、今日はよろしく」
素早く紳士の身なりを値踏みする。
一目で上質と分かるジャケット。
お洒落の中に個性があるハット帽。
腹は出ておらず、磨き上げた靴が光っている。
左手首には世界的有名ブランドの時計があった。
よし、と思う。
さぁどうやってホテルまで持ち込もうか。
ーーーーそう考えていると、来週せねばならない帰省
の事から気を紛らわせる。
兄は結婚し、
実家の敷地内に戸建てを建て嫁と2人の息子とで住ん
でいる。
未奈は無関心を決め込む両親に「就職できたから都会に引っ越したい」
と申し出た。
両親は明らかに安堵していた。
有名私立高校を出たのに無職で引きこもっている娘を
もて余していた。
もちろん就職は嘘だ。大手と言っておけば納得する
ような両親だから、適当に大手企業の名前を使った。
高卒の娘が何故そんなに大きな会社に入れるのか?
とすら考えない。
未奈は兄から離れたかった。
都会に住み人に紛れ自分の存在を薄く感じたい。
その一心だった。
借金をしアパートを借りた。
お嬢様高校と言えど所詮地方である。
仕事がない。
最初バイトを掛け持ちしたが、
毎月身を切るような生活が続き荒んでいった。
アユナと申します」
ホテルのロビー。
ハット帽子が目印だと言っていた紳士は直ぐに見つかった。
未奈を見、目を見開く。
想像以上に美しいからだろう。
「ああ、貴女がアユナさん……………。
袴田(はかまだ)です、今日はよろしく」
素早く紳士の身なりを値踏みする。
一目で上質と分かるジャケット。
お洒落の中に個性があるハット帽。
腹は出ておらず、磨き上げた靴が光っている。
左手首には世界的有名ブランドの時計があった。
よし、と思う。
さぁどうやってホテルまで持ち込もうか。
ーーーーそう考えていると、来週せねばならない帰省
の事から気を紛らわせる。
兄は結婚し、
実家の敷地内に戸建てを建て嫁と2人の息子とで住ん
でいる。
未奈は無関心を決め込む両親に「就職できたから都会に引っ越したい」
と申し出た。
両親は明らかに安堵していた。
有名私立高校を出たのに無職で引きこもっている娘を
もて余していた。
もちろん就職は嘘だ。大手と言っておけば納得する
ような両親だから、適当に大手企業の名前を使った。
高卒の娘が何故そんなに大きな会社に入れるのか?
とすら考えない。
未奈は兄から離れたかった。
都会に住み人に紛れ自分の存在を薄く感じたい。
その一心だった。
借金をしアパートを借りた。
お嬢様高校と言えど所詮地方である。
仕事がない。
最初バイトを掛け持ちしたが、
毎月身を切るような生活が続き荒んでいった。

