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あんなこんなエロ短編集
第30章 シラナイカオ

そんな時だ。
『紳士と淑女の華麗な出逢い』
サイトを見つけたのは。
胡散臭いが、胡散臭いほうが本当というものだ。
交際を名目にし金を奪うのだから。
19歳の未奈には面白いくらい申し込みが沢山来た。
その中からより金持ちを選んで、
金を獲ってきた。
テクニックを駆使したセックス、
自分に甘えてくる可愛くて若い女。
それだけで男は呆気なく陥落する。
笑ってしまうくらい、手軽。
パパ活なのだから数人~1人の男と長期に渡り交際
するのが通常らしい。
が、未奈は避けてきた。
男と長く付き合いたくない。
踏み込まれたくない領域が自分は広すぎる。
兄の性別はもちろん男だ。
未奈は思う。
男を手段として利用しながらも、
実は固執しているのは私なんじゃないか。
「ちょっと、お手洗いに失礼していいですか?」
上目遣いに見上げると袴田は相好を崩した。
買い物をしているうちに、徐々に打ち解けてきた。
ショッピングモール内のトイレに行き用を足し、
洗面所で手を濯いだ。
化粧直しのため鏡に向かう。
ふと、ファンデーションを塗る手が止まる。
ーーーーこれは、誰?
長い睫毛に囲まれた大きな瞳。
薄く頬紅を塗った柔らかな肌。
ぽってり分厚い唇にはグロスが光る。
よく見知った顔だ。
だが、知らない誰かに見える。
善良そうな、それでいて自分を持っており美しい女。
首にうっすらと線がある。
体温が上がると、傷が微かに浮かぶのだ。
未奈は考えるのを止めた。
私は死んだのだ、と言い聞かせる。
怖かった。
私は兄を好きなのではないか。
あの日から、好きになったのではないか……………………
意識し過ぎているから帰省したくないのでは?
そう考えることが怖い。
思考に蓋をしトイレを後にした。
さぁ、食事ではどう会話しようか。
袴田が自分に気持ちを向け始めている。
必ず掴まねば。
口角をキュッと上げ、
ダンディーな紳士然として立てっている袴田に駆けて行く。
<終わり>
『紳士と淑女の華麗な出逢い』
サイトを見つけたのは。
胡散臭いが、胡散臭いほうが本当というものだ。
交際を名目にし金を奪うのだから。
19歳の未奈には面白いくらい申し込みが沢山来た。
その中からより金持ちを選んで、
金を獲ってきた。
テクニックを駆使したセックス、
自分に甘えてくる可愛くて若い女。
それだけで男は呆気なく陥落する。
笑ってしまうくらい、手軽。
パパ活なのだから数人~1人の男と長期に渡り交際
するのが通常らしい。
が、未奈は避けてきた。
男と長く付き合いたくない。
踏み込まれたくない領域が自分は広すぎる。
兄の性別はもちろん男だ。
未奈は思う。
男を手段として利用しながらも、
実は固執しているのは私なんじゃないか。
「ちょっと、お手洗いに失礼していいですか?」
上目遣いに見上げると袴田は相好を崩した。
買い物をしているうちに、徐々に打ち解けてきた。
ショッピングモール内のトイレに行き用を足し、
洗面所で手を濯いだ。
化粧直しのため鏡に向かう。
ふと、ファンデーションを塗る手が止まる。
ーーーーこれは、誰?
長い睫毛に囲まれた大きな瞳。
薄く頬紅を塗った柔らかな肌。
ぽってり分厚い唇にはグロスが光る。
よく見知った顔だ。
だが、知らない誰かに見える。
善良そうな、それでいて自分を持っており美しい女。
首にうっすらと線がある。
体温が上がると、傷が微かに浮かぶのだ。
未奈は考えるのを止めた。
私は死んだのだ、と言い聞かせる。
怖かった。
私は兄を好きなのではないか。
あの日から、好きになったのではないか……………………
意識し過ぎているから帰省したくないのでは?
そう考えることが怖い。
思考に蓋をしトイレを後にした。
さぁ、食事ではどう会話しようか。
袴田が自分に気持ちを向け始めている。
必ず掴まねば。
口角をキュッと上げ、
ダンディーな紳士然として立てっている袴田に駆けて行く。
<終わり>

