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愛はいっぱい溢れてる
第1章 夢風鈴
このまま子育てで終わってしまうのは嫌だと思っていた。
そのはずなのにーーもう子供が産めない体になるという現実に打ちひしがれていた。
『罰が当たったのかも……
子供は可愛いはずなのに、子育てにストレスを感じて、少しは解放されたいと願った。
その願いが叶い、仕事復帰も出来た。
小さな美蘭を保育園に預ける事は、可哀想だと思いながらも、一人っ子だし、いろんな環境に触れさせ、思い通りにいかない事もあるという事も知って欲しかったーーというのは私の言い訳だ。
私は……子育てより、仕事を選んだ。
『そんなお前には二度と子供は授けない』という、罰が下されたんだ。
そう思った。
母が他界してから一人暮らしの長い父は、家事は何でも出来た。
定年を迎えていて、不自由をしているのは孤独という寂しさ。
帰ってきた私と美蘭を歓迎してくれた。
昼ご飯が済むと、父は美蘭を映画館に連れて行くと言って、美蘭の手を引いて出掛けていった。
「凜子はゆっくりしてなさい」と優しい言葉を残して。