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愛はいっぱい溢れてる
第1章 夢風鈴
「ちゃんと生きるって難しいんだよ。
でも、あんたはちゃんとしょうとする。
しんどいだろ?
肩から荷を下ろしなさい」
「もう、どうしたらいいの!
分からない、考えるの、疲れちゃったよ!
お母さん、助けてよ!」
「それをちゃんと言わないと。
一人で抱えちゃダメ。
ね、凜子」
「お母さん………」
ーーーー
ーーー
ーー
ー
「おい、凜子!凜子!」
「えっ!」
私はハッとして目が覚めた。
どうやらうたた寝をしてしまったようだ。
「あなた………」
「仕事切り上げて俺も夏休み。
やっぱ、凜子や美蘭が居ない家は寂しい。
お義父さんともご無沙汰だったし……
凜子と一緒に親孝行しょうと思って………」
「あっ、そうだったんだ。
今、お父さん、美蘭と映画に…………」
「お義父さん……
きっと、気を利かせてくれたんだ。
仕事を始めたばかりの凜子が早々と夏休みを取って実家に帰っただろ。
精密検査の結果を聞いても大丈夫の一転張り。
担当の先生に話を聞いたよ。
バカだな。
一人で悩むな!
俺、そんなに頼りになんない?」
「もう、子供が産めないなんて、言えないじゃない!」
「俺が欲しがったから、言いづらかった?」
抑えていた涙が溢れだす。
夫の裕太の前で泣いていた。
何も答えられずに、ただただ泣いた。
「凜子、
俺ね、凜子の体の方が大事。
美蘭も居るし、欲張らない。
仕方ない事や諦める事………世の中にいっぱいあるけど、凜子や美蘭が居たら、俺は何とかやってゆけるんだぞ!
俺の元気の源。
そして、宝。
絶対、失いたくないもの!」