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性用占精術 秘密のセックス鑑定
第8章 スコーピオの女 情欲の章
――リカと柏木の結婚は組長が決めたもので、跡目を柏木に譲るつもりでもあったようだ。
しかし年齢も価値観も何もかも合わず、肉体関係もない結婚生活はリカにとって何の魅力もなかった。

 組長の一人娘と言う自覚はあったので、離婚を考えることはなかったが、気が付けば歳の近い竜二と関係を持っていた。
恐らく柏木は気づいていたが何も言わないことをいいことに、腹の子も柏木の子として産んで育てるつもりだったようだ。
 このまま上手くいく予定だった。
柏木が麻耶と出会う前では。


 麻耶はこの組のシマでホステスとして働いていたらしく。柏木とは顔見知り程度であった。
 ただならぬ色香のせいで麻耶の仕事場では男とのトラブル――一方的な――があい続き、しかたなく夜の世界へと身を投じていたようだ。
 それでも彼女を付け狙う男が多く、ある晩ビルの隙間で襲われそうになったところを柏木に助けられたのだと言う。



 渋い表情で組長は唸った。
 やっと木刀を飾り棚に戻し、パンパンと手を叩くと和服を着た年配の女中がやってきた。

「柏木を小林先生に診せてやってくれ」
「かしこまりました」

 柏木は少し呻いたが立ち上がり、麻耶に一瞥をくれその場を去った。
 組長はリカと竜二の二人を並べて座らせ問うた。

「で、どうしたいんでい」
「リカは、リカは……。竜ちゃんと一緒になりたいの!」
「りゅうのじはどうなんでい」

「お、俺、お嬢さんのそばに居られるんだったらなんでもいいんです」
「ふんっ」

 鼻を鳴らした後、組長は大きくため息をついて若い二人に告げる。

「おめえらの好きにしたらいいや」
「いいの? 好きにして……?」

「腹の子を大事にしろよ」
「ありがとうございます! ありがとうございます!」

 竜二は何度も頭を下げ繰り返した。リカはその姿を涙を流しながら見つめ、自身の腹を大事そうに擦った。
 二人が静かに座敷を出て行ったあと、包帯を巻かれた柏木が戻ってきた。
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