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性用占精術 秘密のセックス鑑定
第10章 カプリコーンの女 伝統の章
 八木寛美は浅黒い肌に黒い髪と瞳を持ち、意志の強そうな濃い眉頭を持ち上げ、脈の音を聞いているようだ。
僕の手首を持つ手は骨ばっていて大きい。衣装から覗く肩や首筋も細く筋張っており女性らしさとはかけ離れている。
 しかし甘い香りと身体を触る手つきが、どんな女性よりも女性らしさを感じさせる。不思議な倒錯を感じていると、寛美は説明を始めた。

「なかなかバランスがとれてますね」
「そうですか。よかった」

「今はちょっと水のエネルギーに偏ってるけどすぐに戻ると思うわ」
「と、言うと?」

「ちょっとセンチメンタルになりすぎて活動的なエネルギーが停滞しているかしらね」
「脈だけでそんなことがわかるんですね」

「もうちょっと深く診たいわ。横になっていただける?」

 ベッドにうつ伏せになると寛美は腰を触り、片方の手は背骨を撫で、もう片方の手は臀部から尾てい骨をさすっている。

「緋月さんって良いセックスをしてきてるみたいね。エネルギーの流れがスムーズだわ」

 若菜のことを思い出した。
『良いセックス』とは彼女との行為の事だろうか。
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