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性用占精術 秘密のセックス鑑定
第10章 カプリコーンの女 伝統の章
「やはり愛情が伴った行為と言うものが『良いセックス』ですか」
「ふふ。男性なのに可愛らしいことをおしゃるのね」

「歳をとったせいですかね」

「私の考えとしては愛情はもちろんあった方がいいんでしょうけど、『良い』と判断する材料の決め手は『快感』かな。
例えば、愛がなかったとしても、思いやりがあればお互い快感が得られると思うのよね。つまりは恋愛感情よりも、人間性かしらね」

「ふうむ。まあ愛し合ってることが前提だと、快感が得られやすいとは思います。相性もあるだろうし」

「愛ね……。身体の相性がいいのか愛し合っているのか。気持ち良かったから好きになったのか。好きだから気持ちいいのか。苦痛を感じたら嫌になるのか。
『苦痛』を乗り越えるべき愛の障害とまで思い込んで、愛しているつもりにもなりたがる人もいるけれど」

「そこまで考えるべきものですか? 愛は自然に湧き上がるものだと僕は思っています」

「ふふ。私と別の方法で人にアプローチしてきてるんでしょうね。私は『人』に触れて『人』を知ってきましたの」

「なるほど。確かに僕とは全く違うやり方のようです」

「カーマスートラはご存知かしら」
「ええ。一般的な情報程度ですが」

「麻耶さんに頼まれていたの。もしあなたが来たらカーマスートラを施してほしいと」
「えっ。なぜ?」

「緋月さんはもっともっと女性と性を知るべきだっておっしゃってたわ。
あなたが知らないと言ってるのじゃないのよ。麻耶さんはもっとあなたに大きく深く活躍してもらいたいみたい」

「麻耶がそんなことを」

「彼女こそカーマスートラを勉強してもらいたかったんだけど」
「確かに向いてそうだ」

「ほんと。素質はまれに見るものがあるんだけど、彼女はご主人のためだけにエネルギーを発揮したいんですって。まあ潔くていいわね」
「麻耶らしいな」

「と、言うわけで、あなたに少し伝授させてもらうことにしたわ」


 寛美はベッドの上に腰かけ、優しく僕の髪を撫でながら耳元で囁く。


「このベッドから降りてもっと奥にいらして。今からカーマスートラの時間よ」
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