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性用占精術 秘密のセックス鑑定
第11章 アクエリアスの女 変革の章
 リビングからトモを鑑定ルームに案内し、パソコンで彼女の星の出生図を作成し眺めた。

 彼女の特徴はやはりみずがめ座で、多くの星々と影響し合っている。しかし一般的に言う良い配置とは言えず、幼年期から相当の困難を強いられている様子だ。

「黒甕さん、だったね」
「トモ……で、いいです」

「ん。トモ。君は子供のころから相当辛い思いをしてきてるようだけど……家族との関係はどうなのかな」
「親とは特になんの関係もありません」

「そう。その……ネグレクトやもしくは虐待なんか受けたりしてないか?」

 ふっと微笑しながらトモは答える。

「親は……そうできたら良かったんでしょうけど、そんなことすらできなかった」

 謎めいた言い回しに困惑を覚えながら、引き続きホロスコープを眺める。
恋愛に関することを読み解いていると、先ほど若菜の事を持ち出した理由がわかり始めてきた。

「君は同性愛者なの?」

 言い辛いのだろうか。押し黙って考えている。

「若菜が好きなのか……」
「若菜さんはボクの全てです」
「そうか」

 納得がいったので、僕は少しすっきりして話した。

「僕は君たちの関係に立ち入ることはないから、心配しなくていいよ。ただ若菜は偏見がないほうだけど女性を愛する傾向はちょっと薄そうだな」

「もう告白してるんです。ボクが男か女かそんなことは関係なくて、若菜さんはあなたが忘れられないんだ」
「時間の問題だよ」

「ボクの問題はあなたを超えることが出来るかということ。心だけじゃなくて身体も」

「急がなくてもいいんじゃないかな。君はまだ若いし若菜の過去に固執することはないんだよ」

「普通ならこんなに焦らないかもしれない。でも……はやくあなたを克服したい。いや、征服したい。身体だけでも」

「君はセックスをどう考えてる?」
「エネルギーの交換と移動」

 僕と寝て、若菜のエッセンスを全て奪おうとしているのだろうか。そんなことは無意味だと諭してもそれこそ意味がないだろうか。

「若菜とはまだ寝ていないの?」
「うん。あなたを知って克服したら彼女を抱くよ」

 トモは真摯な眼差しを向ける。視線が物質化したら射貫かれそうだ。拒んでも事態は収拾しないだろう。

 八木寛美とのカーマスートラを思い出す。――伝統と継承か。

「わかった。君に渡してしまおう。ベッドルームにおいで」
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