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性用占精術 秘密のセックス鑑定
第3章 ジェミニの女 好奇心の章
「そういえばこの前紹介されてた小料理屋行ってきたよ。こじんまりしてて味も良かったから通いそうだよ」
「ああ『カミノキ』ですね。なんかお母さんの味ですよねえ。安らぐっていうか。あのオーナーも理想的なお母さんって感じ」
「うん。チセちゃんはいい店見つけてくるね」
「うふ。ありがとうございます」

 チセは褒められても屈託なく笑顔を見せる。

「でも、最近ちょっとマンネリで。転職考えてるんですよ」
「ああ、そうなの? 合ってると思うけど」
「うーん。時々色々リセットしたくなるんです。仕事もカレシも」

 そう言われてみると確かに飽きっぽい性格のようで、ここ三年で髪型も服装もコロコロ変わった気がする。綺麗に伸ばしていたロングヘアーは、すっかりスポーティなショートヘアになっていてファッションもパンツスタイルだ。
中性的な可愛らしさをもつチセにはよく似合っているが、こうも雰囲気を変えられると恋人はついていけないだろう。

「チセちゃんは会うたびに雰囲気変わって面白いね」
「そう言ってくれるのはせんせぇくらいかな。カレシは疲れるって。まあその前にアタシが飽きちゃうんだけど」

 ペロッと小さな舌を出して、彼女は茶目っ気のある笑顔を見せる。たわいもない話をしばらく楽しんだ。
時計を見ると十一時前だ。いつの間にか二時間近くも過ごしていたらしい。
その間、僕は地元のウィスキーを飲んでいたがチセはビール、ワイン、サワーと強くはないが、様々な種類を飲んでいたようだ。

「そろそろ帰るよ」
「あら、早いんですね」
「山にこもってると基本早寝早起きだからね。いつもならもうベッドだよ」
「健康的~。アタシはもう少しだけ飲んで帰ります。おやすみなさい」
「ん。ほどほどにね」
「はあーい」

 勘定をし、僕よりも若いが物静かなマスターに「ごちそうさま」と告げ店を出た。タクシー乗り場まで十分ほど、工場の煙でよく見えない空の中に星座を探しながら歩く。
夜風に冬を感じ、少し星が見えたころにタクシーも目に入った。
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