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性用占精術 秘密のセックス鑑定
第3章 ジェミニの女 好奇心の章
 気が付くとチセの目の縁が、唇と同じくらいピンク色に染まっていた。それと同時にチセはいつもよりも感情的な会話を始めてくる。

「ねえ、せんせ。先生はどうして田舎に引っ込んだんですか?昔はすごく有名で活躍されてたんでしょ?」

 いつもはこういう個人的なことに追及してくる娘ではないので、僕は少し躊躇った。今日のチセは様子が少し変だ。

「まあ、疲れちゃってね。今ぐらいがちょうどいいんだよ。もう欲しいものは全部持ってるし、やりたいこともやってる。なんの不満もないね」
「ふーん」

 彼女は納得がいかないようで不満顔だが、本心だ。

「じゃあ、恋人も奥さんもいらないってことですか?」
「そうだねえ。いらないとも思わないけど縁がなくてね」
「先生、モテるのに相手しないだけでしょ? モテないなんて言わないでくださいよね。モテないわけないんだから」

「んー。まあ『先生』って呼ばれる職業だとモテるのは確かだよね。女性は尊敬すると恋愛感情も沸きやすいから」
「あっ! それって女だけじゃないですよ! おまけにアタシは尊敬と恋愛は混じったりしません」
「ごめんごめん。そういう経験が多かったから。チセちゃんは確かにそれはないタイプだよね」

 今夜はいつもの彼女に加え、感情の波もコロコロ変わるらしく忙しい。

「でもセックスと恋愛がイコールにならないアタシっておかしいですかね? なんか女って最初好きとかじゃなくても、セックスしちゃうと好きになっていっちゃうじゃないですか」
「おかしくないよ。男だって身体から始まる恋愛があるし。チセちゃんは単にコミュニケーション重視だよ」
「かなあ」

 気が付くとウィスキーのボトルが空いてしまっていた。チセの言動はしっかりしているが足元をふらつかせながら化粧室に向かっている。明らかに飲みすぎだろう。
僕は会計を済ませ、チセを待った。

「チセちゃん、それじゃ帰れないでしょ。どっかファミレスででもお茶しよう」
「えー。全然大丈夫ですう。もっと飲みましょうよお」
「だめだめ。もうタクシーも呼んだから。出よう」
「はあい。マスターまたねー」
「ごちそうさま」
「お気をつけて。ありがとうございました」
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