この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
性用占精術 秘密のセックス鑑定
第4章 キャンサーの女 母性の章
半月ぶりに凍える手で『カミノキ』の引き戸を開けた。
「あら、緋月さん、しばらくお顔拝見してませんでしたね」
女将の優香は優しく声を掛けてき、僕をカウンターに促した。
「久しぶり。ちょっと忙しくてね。まだやってる?」
店内の座敷席もテーブル席も静かだ。
「さっきまで一組いたんですけど、このいきなりの冷え込みのせいかしらね。雪になるかもしれないって、さっきのお客さんも早めに切り上げちゃったの。
もう仕舞おうかなと思ってたところなの」
「ああ、そう。じゃあ、今夜はよすよ」
「いえ、そんなつもりじゃ。緋月さんがいてくださるなら朝まで開けてますよ」
僕は笑って椅子に座りなおした。
「腹は減ってないんだ。熱燗つけてください」
「はい。すぐにお持ちしますね」
がらんとしているが店の雰囲気で温かい気がする。ぼんやりとかじかんだ手をこすり合わせていると、優香が粉引きの白っぽい徳利とぐい飲みを運んできた。
「どうぞ」
白く滑らかな手で酌をしてくれる。
「ありがとう。女将さんもどう? 一緒に飲まない?」
「そうねえ。いただこうかな」
隣に彼女がふわりと座った。近くで見ると肌はまだ若く張りもあるようだ。鼻先は丸くあどけなくさえ見える。案外童顔なのかもしれない。
「この店ってもう何年?」
「うーん。私が始めてからは五年だけど母からだと三十年になるかしら」
「年季が入ったいい店構えだよね」
「ええ。母がとても大事にしてきた店です」
「あら、緋月さん、しばらくお顔拝見してませんでしたね」
女将の優香は優しく声を掛けてき、僕をカウンターに促した。
「久しぶり。ちょっと忙しくてね。まだやってる?」
店内の座敷席もテーブル席も静かだ。
「さっきまで一組いたんですけど、このいきなりの冷え込みのせいかしらね。雪になるかもしれないって、さっきのお客さんも早めに切り上げちゃったの。
もう仕舞おうかなと思ってたところなの」
「ああ、そう。じゃあ、今夜はよすよ」
「いえ、そんなつもりじゃ。緋月さんがいてくださるなら朝まで開けてますよ」
僕は笑って椅子に座りなおした。
「腹は減ってないんだ。熱燗つけてください」
「はい。すぐにお持ちしますね」
がらんとしているが店の雰囲気で温かい気がする。ぼんやりとかじかんだ手をこすり合わせていると、優香が粉引きの白っぽい徳利とぐい飲みを運んできた。
「どうぞ」
白く滑らかな手で酌をしてくれる。
「ありがとう。女将さんもどう? 一緒に飲まない?」
「そうねえ。いただこうかな」
隣に彼女がふわりと座った。近くで見ると肌はまだ若く張りもあるようだ。鼻先は丸くあどけなくさえ見える。案外童顔なのかもしれない。
「この店ってもう何年?」
「うーん。私が始めてからは五年だけど母からだと三十年になるかしら」
「年季が入ったいい店構えだよね」
「ええ。母がとても大事にしてきた店です」