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性用占精術 秘密のセックス鑑定
第4章 キャンサーの女 母性の章
カウンターから座敷へ移り、また二人で酒盛りを始めた。
「どうぞ」
「ありがとう」
「今日はいっぱい飲みましょうよ」
「ん。ありがとう。まあほどほどにします。ごめんね。自分がこんなにマザコンだと思わなかったんだ」
「男の人は基本マザコンですよ。私だってマザコンです。母が大好きでこの店継いだんですもの」
「そうなんだ」
「ええ。ここやる前は私、保育士の仕事してたんです。でも母が店を閉めるって言い始めて。
もう歳だし無理なのは分かってたからしょうがないんだけど、母も母の店も失うのかと思うと気が気じゃなくなって……。無理やり継いだんですよ。母が反対してたのに」
「お母さん、嬉しかったんじゃなくて反対だったの?」
「母は店よりも私が好きな仕事を続けてほしかったみたいで。だから緋月さんのお母様は安心してあちらに逝かれたと思いますよ」
優香は顔を天井に向け、和紙でできた丸い照明を虚ろに見つめた。
「そうなんだね。僕たち逆みたいだけど気持ちは同じなんだろうね」
母の最期の言葉を思い出す。
『あなたらしく生きてね』――母は自分らしく生きたのだろうか……。
占い師としての自分のスキルを、母に対しては活かしていなかった。母は永遠に自分の母で自分を包む存在なのだと、当たり前のように甘えてきてしまい、細く小さくなった彼女は思い出の中の母とは違っていた。
「緋月さん……」
「どうぞ」
「ありがとう」
「今日はいっぱい飲みましょうよ」
「ん。ありがとう。まあほどほどにします。ごめんね。自分がこんなにマザコンだと思わなかったんだ」
「男の人は基本マザコンですよ。私だってマザコンです。母が大好きでこの店継いだんですもの」
「そうなんだ」
「ええ。ここやる前は私、保育士の仕事してたんです。でも母が店を閉めるって言い始めて。
もう歳だし無理なのは分かってたからしょうがないんだけど、母も母の店も失うのかと思うと気が気じゃなくなって……。無理やり継いだんですよ。母が反対してたのに」
「お母さん、嬉しかったんじゃなくて反対だったの?」
「母は店よりも私が好きな仕事を続けてほしかったみたいで。だから緋月さんのお母様は安心してあちらに逝かれたと思いますよ」
優香は顔を天井に向け、和紙でできた丸い照明を虚ろに見つめた。
「そうなんだね。僕たち逆みたいだけど気持ちは同じなんだろうね」
母の最期の言葉を思い出す。
『あなたらしく生きてね』――母は自分らしく生きたのだろうか……。
占い師としての自分のスキルを、母に対しては活かしていなかった。母は永遠に自分の母で自分を包む存在なのだと、当たり前のように甘えてきてしまい、細く小さくなった彼女は思い出の中の母とは違っていた。
「緋月さん……」