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性用占精術 秘密のセックス鑑定
第7章 ライブラの女 バランスの章
失恋でくさくさするので馴染みのバーに寄った。森の中の静かな家に帰る気が起きない。ロックグラスの大きな氷を眺めながらぼんやりしていると「こんばんは。お隣よろしいかしら?」と華やかな声がかかった。
見上げると柔らかそうなふわっとしたパーマヘアで、優美な雰囲気を持つ三十代半ばくらいの女が立っている。
「どうぞ」
「ありがと」
含み笑いをしてすっと隣に座った。
「そろそろ梅雨ですね。気持ちが暗くなっちゃう」
「ええ。全くです」
彼女はマスターに「いつもの」と頼んだ。寡黙な彼は「はい」と一言だけ応え黙々と作業を始める。
差し出されたショートスタイルのカクテルに口をつけ彼女は優雅に「美味しい」とにっこりほほ笑んだ。
「初めて見るカクテルですがなんて言うんですか?」
「ウェットドリーム。よく意味が分からないんだけどマスターが名前をあまり言わない方がいいって」
「なるほど……」
ウェットドリームとは確か夢精を意味する。
我、関せずのマスターがお節介を焼くだけはあるなと秘かに笑んでいると、マスターの軽いため息が聞こえた。
「お目にかかったことはないですけど、この店にはよく来られるんですか?」
「月に一回だけなの」
こんな風に常連同士でも会わないことが多いのが、人との縁なのだろうなとしみじみ思ってグラスの氷を鳴らした。
見上げると柔らかそうなふわっとしたパーマヘアで、優美な雰囲気を持つ三十代半ばくらいの女が立っている。
「どうぞ」
「ありがと」
含み笑いをしてすっと隣に座った。
「そろそろ梅雨ですね。気持ちが暗くなっちゃう」
「ええ。全くです」
彼女はマスターに「いつもの」と頼んだ。寡黙な彼は「はい」と一言だけ応え黙々と作業を始める。
差し出されたショートスタイルのカクテルに口をつけ彼女は優雅に「美味しい」とにっこりほほ笑んだ。
「初めて見るカクテルですがなんて言うんですか?」
「ウェットドリーム。よく意味が分からないんだけどマスターが名前をあまり言わない方がいいって」
「なるほど……」
ウェットドリームとは確か夢精を意味する。
我、関せずのマスターがお節介を焼くだけはあるなと秘かに笑んでいると、マスターの軽いため息が聞こえた。
「お目にかかったことはないですけど、この店にはよく来られるんですか?」
「月に一回だけなの」
こんな風に常連同士でも会わないことが多いのが、人との縁なのだろうなとしみじみ思ってグラスの氷を鳴らした。