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お兄ちゃんといっしょ
第9章 第9章
 お兄ちゃんはカウンター席に座っていたガラの悪そうなオッサンと顔見知りだったのか、定食が運ばれてくるまでの間、ずっとそのオッサンとペラペラ喋っていた。


 なんで辞めたのか。
 早く戻って来いや。 
 寂しいだろ。


 オッサンが何度も繰り返すから、そのたびにお兄ちゃんは困ったような笑顔で「昼間の仕事がしたくなったんすよ」と繰り返していた。


 オッサンが帰ったあと、タイミングよく定食が運ばれてきた。
 ため息をつきながら、お兄ちゃんは私にそんなことを話しはじめたのだ。



「辞めてみて思うよ。
 なんだかんだで、けっこう居心地は良かった。
 俺みたいに年中長袖着てるヤツがゴロゴロいてさ。
 みんな気は荒いけど、あーゆーさっきのオッサンみたいなヤツが何人もいて、なんべんもこーゆーとこに連れてきてくれた。
 こんなゴーカな朝メシは食わしてもらう専門だったな」


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