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お兄ちゃんといっしょ
第9章 第9章
「さっきお前のこと散々笑っといて今更言うのもなんだけど、俺の補導デビューは原付窃盗だったんだ」


 顔を膝に埋めているからお兄ちゃんの表情は見えない。


「ほんと黒歴史よな」


 けれど、お兄ちゃんの声が笑っていることだけは分かる。


「あんときさー。
 塾の帰りに、友達と本屋に寄ったんだ。
 出てきたら、入り口の横に鍵がついたまんまの原付が停まってた。
 完全な出来心だった。友達とアイコンタクトで即同意。
 二人とも参考書の入った袋ぶら下げて、ニケツして本屋をあとにした。
 二人でゲラゲラ笑ったよ。そのまま家に帰って、友達が途中でどっかに乗り捨てりゃ俺たちバレっこなかったのに、吉野家に寄っちまったのがマジ黒歴史の極みな。
 出てきたところにフツーに警察がきて、俺らが盗んだ原付が盗難車だったことを知ったんだ。
 それで警察行き。
 マジで恥ずかしい話よな」


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