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お兄ちゃんといっしょ
第10章 第10章
 通路を挟んで向かい側の下着売り場に移動する。

 娘の下着でも買いに来たのか、真面目そうな顔をした中年の女性が、小中学生向けの下着コーナーでタンクトップを物色していた。

 私はその女性の近くに陳列されていた上下セットのスポブラを品定めする。



 花柄、フルーツ柄、チェック柄、水玉柄。
 ピンク、黄色、水色、オレンジ。
 プリント柄入り、フリル付き、レース付き。


 何もかもから現実逃避するかのように、手当り次第物色する。
 むねがわくわくする。


 下着だけは、女の子っぽい、可愛くて、ふりふりなのが好き。


 だって。



「お兄ちゃん!」



 ショーツの履き口に大袈裟なフリルがぐるっと縫い付けられた、水色のボーダーのセットを選んでみる。


 理由は、陳列してたなかで、いちばん、生地の面積が少なくて…えろかったから。



 遠目に私を眺めていたお兄ちゃんに向かってそれを自分の身体に当てて、大きな声で尋ねる。



「どう?ぼっきする!?」




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