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お兄ちゃんといっしょ
第15章 第15章
 私を車の後部座席に放り込み、どこかへ車を走らせ始めたお兄ちゃんが、呆れたようにそんなことを言ったのは、産婦人科クリニックの看板が見えた頃だった。


「うっかり出ちゃったって…だって、せーしがいつ出るかとか全然わかんないし…それどころじゃなかったし…」



 地下駐車場の暗い天井が見えた。
 お兄ちゃんに抱きかかえられる自分の身体が重くて、吐き出す息が熱かった。
 頭が痛くて、全身が熱を帯びていて酷くだるい。
 


「ごめんなさい」



 目を閉じたまま、うわ言のように何度かお兄ちゃんに謝った。
 そのたびお兄ちゃんは「わかったから」と、やっぱり苛立った様子で答えてくれたようだった。



 お兄ちゃんに抱えられたまま受付に入ると、消毒液の臭いが鼻をツンとついた。
 お兄ちゃんが一言二言、受付の女性に話をすると、待ち合い室の空気が凍てついたのが私にも分かった。
 私はすぐ別室に連れて行かれた。
 警察とか、色々そういう話をお兄ちゃんと看護師らしき人たちが話していたのが聞こえて納得した。


 あぁ、私はいま、避妊のないレイプをされて、だから病院にきたことになってるんだ。



 って。


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