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第17章 第17章

「やばくね」

「家出だって」

「どうしよう」

「…警察行く？」

「それはなぁ…うちに帰れないのに、無理矢理帰されんだぞ？」

「でも小学生だぜ、流石にやばいよ」

「でもここにいたら確実にもっとやべえのにつかまるよ。さっき変なオッサンがずっとこの子見てたじゃん」

「じゃあ…どうする？」



　沈黙。



「…べつに、俺んちはいいよ」


　ニキビ面が言う。
　黒縁メガネは笑った。


「マジで？やばくない？」

「だってここに放置して帰ったらこの子マジでやばいよ、顔真っ青だし」

「ちがうよ、連れて帰ってお前がヤバイんじゃねぇかって言ってんの」

「やばいかな？」

「もし捜索願いとか出てたらさ」

「上手く言えばいいじゃん」

「…俺のオトンに？」

「本末転倒？」

　
　二人は顔を見合わせ、ニヤニヤ笑っている。


「何日くらいいけんの？」

「えっと、父さん上海出張で、母さん浮気相手と沖縄だから」

「はは、最高」

「3日はいけるかな」

「だって」


　二人は同時に私を見た。
　先ほどの親切そうな表情はもう、二人の顔には浮かんでいない。


「よかったね、泊めてくれるって。コイツんちでゆっくり寝たらいいよ」


　黒縁メガネが口の端で笑い、ニキビ面を親指で指した。