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お兄ちゃんといっしょ
第25章 第25章
 お兄ちゃんの笑みは不気味極まりなかった。

 
 だいたい「〜ようネ!」ってなんだよ。
 明らかにキャラおかしいだろ。


 つうかそもそも、お兄ちゃんに行き先など告げていなかったし、遥輝と会うことも話していなかった。
 



 なのに、お兄ちゃんはバスロータリーにいた。
 私と遥輝が出会った場所に。




「つうかお兄ちゃんさぁ、なんで私があそこにいるって分かったの?」



 塩タンを裏返しながら、私はもう一度、返答を得ていなかった先ほどの質問をした。
 お兄ちゃんはナムルを頬張りながら言った。




「兄ちゃんはさ〜〜〜。
 彼女と初デートするまえ、ちゃんと彼女の親に挨拶に行ったけどな〜〜〜」




 遥輝が塩タンを盛大に噴き出した。
 ムセる遥輝を無視したまま、お兄ちゃんは話を続ける。




「中1のときだったかなぁ。
 一回きり、手を繋いだだけの彼女。
 あの子の家、さっきの駅が最寄りだったな〜〜〜
 なつかし〜〜〜」



 脈略が掴めない。
 私はジョッキグラスに入ったただの水をひとくち飲んだ。




「やっぱ、大事なムスメ…いや、コイツは妹だけどさ。
 でも今は俺が養ってんだから、ムスメみたいなもんじゃん?
 その俺の大事な可愛い可愛い、この世でたった一人きりの妹のさぁ、初デートの相手がどこのどんな男なのか、気になるじゃん。
 挨拶に来てくれないなら、余計、」



 お兄ちゃんが言い終わる前に遥輝はバッと立ち上がり、「なんかほんとすんません!」と、彼にとっては全く持って不明瞭なお兄ちゃんの言い分に対して深々と頭を下げて詫ていた。

 白いTシャツの腹のあたりが、噴き出した肉片等で転々と汚れていた。



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