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お兄ちゃんといっしょ
第25章 第25章
「まぁまぁまぁ座って、食おうよ。
奈々がわざわざ俺に“友達とあそんでくる”とか嘘ついて会いに行った男がどんなマヌケかと思ったら、俺がむか〜しむかし通ってた学校の子だったんだから」
遥輝はもう、白目を剥きそうな勢いだった。
私だったら泣いてると思う。
しかし遥輝は男だった。
「えーっ…と、つまり、俺の先輩なんすかね?」
遥輝はゆっくり腰を下ろすと平静を装い、お兄ちゃんにそう尋ねた。
小麦色の額にはハンパなく汗が浮かんでいる。
お兄ちゃんは子供のように「うん!」と言うと、
「中2の3学期に傷害事件起こしちゃって、自主退学したけどね」
と、満面の笑みで補足した。
「てかこないだニュースになってた飛び降り自殺した子いるじゃん?
ほら、同じ高校の」
お兄ちゃんの追撃に、遥輝は今度は目を丸くした。
「あの子も3年生だったでしょ?」
「え、ああ…」
「うちのマンションの向かいだったんだよね、自殺現場。飛び降りる瞬間を、たまたまコイツが見てたんだ」
「え?」
遥輝は隣で塩タンを食べていた私を驚愕のふた文字で見つめた。
私はもう、焼肉を食べる気が起きず箸を置いた。
せめてピビンパを食べてからこの話題を振ってくれたらよかったのに、と腹立たしくさえ思った。
「あの子になにがあったんだろう?」
お兄ちゃんは店員さんの呼び出しボタンを押しながらそう言った。
遥輝は険しい顔でスーと息を吐き、それから言った。
「自分はコースつうか…クラスも違ったんで…
正直あんまり知らなくて…」
「でもラグビー部で一緒だったんでしょ?」
遥輝はゆっくり顔を上げた。
お兄ちゃんはまだ笑っていた。
奈々がわざわざ俺に“友達とあそんでくる”とか嘘ついて会いに行った男がどんなマヌケかと思ったら、俺がむか〜しむかし通ってた学校の子だったんだから」
遥輝はもう、白目を剥きそうな勢いだった。
私だったら泣いてると思う。
しかし遥輝は男だった。
「えーっ…と、つまり、俺の先輩なんすかね?」
遥輝はゆっくり腰を下ろすと平静を装い、お兄ちゃんにそう尋ねた。
小麦色の額にはハンパなく汗が浮かんでいる。
お兄ちゃんは子供のように「うん!」と言うと、
「中2の3学期に傷害事件起こしちゃって、自主退学したけどね」
と、満面の笑みで補足した。
「てかこないだニュースになってた飛び降り自殺した子いるじゃん?
ほら、同じ高校の」
お兄ちゃんの追撃に、遥輝は今度は目を丸くした。
「あの子も3年生だったでしょ?」
「え、ああ…」
「うちのマンションの向かいだったんだよね、自殺現場。飛び降りる瞬間を、たまたまコイツが見てたんだ」
「え?」
遥輝は隣で塩タンを食べていた私を驚愕のふた文字で見つめた。
私はもう、焼肉を食べる気が起きず箸を置いた。
せめてピビンパを食べてからこの話題を振ってくれたらよかったのに、と腹立たしくさえ思った。
「あの子になにがあったんだろう?」
お兄ちゃんは店員さんの呼び出しボタンを押しながらそう言った。
遥輝は険しい顔でスーと息を吐き、それから言った。
「自分はコースつうか…クラスも違ったんで…
正直あんまり知らなくて…」
「でもラグビー部で一緒だったんでしょ?」
遥輝はゆっくり顔を上げた。
お兄ちゃんはまだ笑っていた。