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お兄ちゃんといっしょ
第25章 第25章
 遥輝は先程より深くスーッと息を吐くと、険しい顔で俯いたままお兄ちゃんに白状した。


「…まぁ、アイツは中学んときからいじられキャラだったんで。
 一部の3年とちょっと揉めてたみたいっすね」


 脳裏に、あの晩の永翔の告白が蘇る。 
 永翔にオナニー動画を送らされて… 
 それを好きな子本人に送りつけられてバラされて…
 好きな子に罵倒させたっていう話。


 ため息がでた。
 それ以外、どうしようもなかったからだ。



「ふうん」



 重苦しい雰囲気の中、店員さんが注文を聞きに来た。
 お兄ちゃんはメニューを見ながらかなりの品数を告げ、店員さんが出ていったのを見計らって再び口を開いた。



「それってさー。キャプテン的にはどうなの?」



 あからさまに遥輝の表情が曇った。



「部内のいじめが原因で自殺、なんて世間にバレたら、キャプテン的にはどうなんだろう。それに」



 焼網にハラミを乗せるお兄ちゃんの顔はやっぱり、笑ってた。



「キャプテンが小6の女子児童を買春したとなれば…
 毎年花園出場してるのに残念だけど、今年は無理かもね〜」



 立ち上がろうとした遥輝をお兄ちゃんが「まぁまぁまぁまぁまぁ」と制止する様子はデジャブみたいだった。



「さっき言ったろ。曲がりなりにも俺はニイちゃんの先輩だからさぁ。
 ただ一緒に焼肉食ってほしいだけ。楽しく」



 お兄ちゃんの肩が小刻みに震えてる。





「ほら、焦げるよ」




 遥輝は険しい顔で小さく何度も頷きながらスーッと息を吐き、そして、箸を握った。


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