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お兄ちゃんといっしょ
第26章 第26章
今からこの室内で何が起きるのか。
考え予測するだけ無駄だと、経験で分かっていた。
だから私は煙草くさくて、実に趣味の悪い、赤と紫が基調とされたダサいヨーロピアンスタイルな室内をぐるりと見渡し、戸を開け、ファイルの中をめくってみたりした。
でなければ、私のほうが泣いてしまいそうだった。
お兄ちゃんが悪い人だという事実を、
誠太郎のときよりも詳細に、
目の前で、
目撃しなければならない事実が突き付けられているのだから。
「へぇ、さすが、キャプテンは違うなぁ。
数え切れないくらい遊んでるんだ」
お兄ちゃんは入り口に突っ立ったままの遥輝に言った。
スウェットズボンを脱ぎながら。
「いやべつに、そうじゃないっすよ、ちがいますよ」
遥輝は慌てて否定したが、お兄ちゃんはさぞ可笑しそうに続けた。
「なんで?抱けるもんならいっぱい女抱きたいのがオスってもんじゃない?
俺の大事な奈々は、ニイちゃんにとっては数え切れないくらい抱いてきた女の中の1人なんでしょ?」
遥輝はまた、スーと息を吐いた。
レイバンに隠れて顔は見えないが、眉毛がハの字に下がっている。
遥輝は首を左右に振った。
「あの、自分は…どうしたらいいンすかね?」
途方に暮れた様子で、遥輝はそう言った。
考え予測するだけ無駄だと、経験で分かっていた。
だから私は煙草くさくて、実に趣味の悪い、赤と紫が基調とされたダサいヨーロピアンスタイルな室内をぐるりと見渡し、戸を開け、ファイルの中をめくってみたりした。
でなければ、私のほうが泣いてしまいそうだった。
お兄ちゃんが悪い人だという事実を、
誠太郎のときよりも詳細に、
目の前で、
目撃しなければならない事実が突き付けられているのだから。
「へぇ、さすが、キャプテンは違うなぁ。
数え切れないくらい遊んでるんだ」
お兄ちゃんは入り口に突っ立ったままの遥輝に言った。
スウェットズボンを脱ぎながら。
「いやべつに、そうじゃないっすよ、ちがいますよ」
遥輝は慌てて否定したが、お兄ちゃんはさぞ可笑しそうに続けた。
「なんで?抱けるもんならいっぱい女抱きたいのがオスってもんじゃない?
俺の大事な奈々は、ニイちゃんにとっては数え切れないくらい抱いてきた女の中の1人なんでしょ?」
遥輝はまた、スーと息を吐いた。
レイバンに隠れて顔は見えないが、眉毛がハの字に下がっている。
遥輝は首を左右に振った。
「あの、自分は…どうしたらいいンすかね?」
途方に暮れた様子で、遥輝はそう言った。