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お兄ちゃんといっしょ
第26章 第26章
「白状すると自分、奈々ちゃんのほかには年上の既婚女性2人としか関係持ったことないですし…
 いまだに女性と交際した経験もないンすよ」



 お兄ちゃんは顔を上げ、唇を閉じ…
 黙って遥輝の告白に耳を傾けていた。



「奈々ちゃんが好きとか、
 そういうのはまだ自信持って言えないっすけど、
 でも“いいな”って思ってたのは事実で…」


 
 ああ。
 胸が苦しい。
 どうしてカラオケで、この話をしてくれなかったのだろう。
 



「ねぇお兄ちゃん、この人さ、ほんとに悪くないからさ。
 なんかほんと、悪くないから、なんていうんだろ…」



 サングラスを外して手の中に握りしめ、お兄ちゃんに訴える。
 お兄ちゃんは口を三角形にして笑った。



「ふ〜ん。
 じゃあ逆に聞くけどさぁ。
 ニイちゃん、兄弟とかいる?」



 遥輝はサングラスをかけたまま項垂れている。
 セットした短髪が小さく頷く。



「はい」


「何人?」


「自分とこは…下に二人います」


「妹はいる?」



 遥輝は答えなかった。
 それは逆にイエスと返答したようなものだった。



「仮に自分の可愛い妹がさぁ、
 どこのダレだかわかんねーヤツに、
 好きかどうかわかんないけどイイナって思ってるからエッチしました〜とか言われたら、
 すんげ〜腹立たない?」



 遥輝は項垂れたまま、答えない。
 お兄ちゃんはパンイチでベッドに転がった。
 頭の下で手を組む様子は、私が処女喪失する前の誠太郎みたいだった。




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