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お兄ちゃんといっしょ
第29章 巻き戻し
―――なぁ奈々…
あの日のお兄ちゃんの声が耳の中で聴こえる。
景色がどんどん流れていく。
―――兄ちゃんに抱かれたい?
タイセイのパーカーが汗で湿ってる。
繋いだ指にギュッと力を入れると、タイセイが握り返してきた。
―――本当に、兄ちゃんの嫁さんになりたい?
もうすぐ目的地に着く。
いつもの駅に。
アナウンスが流れてる。
―――俺は奈々を本当に嫁さんにしてやってもいいよ…なぁ、奈々…
「タイセイ…あのね…」
―――…でも…お前は本当に、兄ちゃんを受け止める勇気がある?こんな兄ちゃんを…こんな俺を、一生、死ぬまで、愛することができる?誓える?
ドアが開く。
タイセイが細い目を開いて私を見てる。
―――なぁ奈々…お前は結局、俺じゃなくたって、誰だってよかったんだろ…?
…あの日のお兄ちゃんの声は今でも耳の中に張り付いて離れない。
鼻がツーンと痛くなる。涙が出そうになったから必死で堪えた。
私は無理矢理笑顔をつくって顔に浮かべ、タイセイに「ううん、やっぱりなんでもない」と言って、二人で一緒に電車から下りた。
あの日のお兄ちゃんの声が耳の中で聴こえる。
景色がどんどん流れていく。
―――兄ちゃんに抱かれたい?
タイセイのパーカーが汗で湿ってる。
繋いだ指にギュッと力を入れると、タイセイが握り返してきた。
―――本当に、兄ちゃんの嫁さんになりたい?
もうすぐ目的地に着く。
いつもの駅に。
アナウンスが流れてる。
―――俺は奈々を本当に嫁さんにしてやってもいいよ…なぁ、奈々…
「タイセイ…あのね…」
―――…でも…お前は本当に、兄ちゃんを受け止める勇気がある?こんな兄ちゃんを…こんな俺を、一生、死ぬまで、愛することができる?誓える?
ドアが開く。
タイセイが細い目を開いて私を見てる。
―――なぁ奈々…お前は結局、俺じゃなくたって、誰だってよかったんだろ…?
…あの日のお兄ちゃんの声は今でも耳の中に張り付いて離れない。
鼻がツーンと痛くなる。涙が出そうになったから必死で堪えた。
私は無理矢理笑顔をつくって顔に浮かべ、タイセイに「ううん、やっぱりなんでもない」と言って、二人で一緒に電車から下りた。