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お兄ちゃんといっしょ
第4章 第4章
 あの時、お兄ちゃんはまだ市場で働いていた。
 辞めるか辞めないか迷っていた時期だと、あとから聞いた。
 鮪の卸問屋がお兄ちゃんの職場だった。
 電話したときは口から心臓が飛び出そうなくらい緊張した。

 最初、電話口には威勢のいいオッサンが出た。
 しどろもどろになりながら要件を伝えると、オッサンはすぐにお兄ちゃんに替わってくれた。

 電話越しに初めて聴くお兄ちゃんの声は低くて落ち着いていて、知らない大人の男性の声だった。
 もっと胸がどきどきした。

 会いたい旨を伝えると、お兄ちゃんは「じゃあ今日、14時には上がるから、夕方にでもばあちゃんち寄るわ」と、こちらがびっくりするくらいアッサリ承諾してくれた。

 
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