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お兄ちゃんといっしょ
第4章 第4章
 お兄ちゃんは私が物心ついた頃にはすでにおばあちゃんちを出ていってしまってたし、おばあちゃんにとってお兄ちゃんは「14歳のときに死んだ」存在だったから、私はお兄ちゃんと一度も対面したことがなかった。


 思えば、パパとママもお兄ちゃんの話をしたことはなかった。
 お兄ちゃんいわく、お兄ちゃんが塀の中にいたとき、パパとママが面会にくるたび散々恨み節を繰り返し、散々金を強請りとったそうだ。
 パパとママはきっと、お兄ちゃんの話をすることすら恐怖を感じていたに違いない。



 電話のあと、私は通りに面したニ階の窓に張り付いて座り、お兄ちゃんが来るのを待った。



 夕方16時頃、黒塗りのアルファードが家の前に滑り込むようにして停まった。
 胸が爆発しそうなくらい高鳴った。
 どんな人が私のお兄ちゃんなんだろうとわくわくしながら窓に張り付いていると、運転席のドアがゆっくりと開いた。


 中から現れたのは、土建屋の兄ちゃんみたいな小汚い作業着姿で白いゴム長を履いた、背が高く体格の良い若い男だった。



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