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お兄ちゃんといっしょ
第4章 第4章
 お兄ちゃんに一歩一歩近づくにつれ、玄関に知らない若い男性の、知らない匂いが立ち込めていることに気が付いた。


 それに、遠目で見ただけでは判らなかったけれど、近くで見るとお兄ちゃんは筋肉質だということも知った。

 黒い長袖のピタッとしたTシャツに、むっちりとした筋肉が浮かび上がっていた。
 胸筋や上腕なんか特に如実で、生地の下を想像せずにはいられなかった。


 実の兄なのに、私は目の前に立っている若い男性の弾けるような男の匂いと、その逞しく大きな体に、強烈に魅せられてしまってる自分がいた。


「べっぴんに育ったなぁ」


 そんな私の心情を知ってか知らずか。
 お兄ちゃんはのんきそうに自分の顎髭を撫でながら、ニコニコ私を見つめていた。
 
 お兄ちゃんはこの時はまだ頻繁に散髪していたのか、前髪を上げ、ツーブロックの髪を綺麗セットしていた。
 髪だけでなく、髭もきちんと手入れしていた。
 清潔感のある男性だなという印象も受けた。

 お兄ちゃんを見ているだけで、全身の皮膚がじぃんと熱くなり、同時に甘く痺れだした。


 物言わずじっと黙り込んでいる私に、お兄ちゃんは更に続けた。


「スタイルもいいなぁ。学校でモテるだろ?」


 お兄ちゃんは穏やかな、ゆっくりとした口調でものを言う人だった。



 
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