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お兄ちゃんといっしょ
第4章 第4章
「…会ってみたかったから」

 私は率直に答えた。

「私よりもっと悪さばっかしてたっていう、お兄ちゃんに。会ってみて、色々、気持ちを共感したかった…んです」


 車は市内を出て、国道を走り続けていた。


 お兄ちゃんは「ふーん」と言いながら、面白がった顔でにやにや笑っていた。
 最初に抱いた印象がいとも簡単に崩されていく。


「お前、顔に似合わず悪さしてんのか」


 “お前”と呼ばれることが心地良かった。
 車に乗り込んでから、はじめてお兄ちゃんが私の方を向いた。
 切れ長の二重瞼のさほど大きくない目で、じっと私を見つめていた。


「…ちょっとだけ。お兄ちゃんほどじゃないだろうけど」


 私は前を向いたまま答えた。
 夕暮れ空が紺色とオレンジのグラデーションに染まり綺麗だった。


 
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